ダイエットのために走り始める人も多いのではないでしょうか。
走る目的は人それぞれ。実は私も最初はダイエット目的でした。喫煙25年で半年禁煙しただけで、体重が5kg以上増えてしまったのです。47歳のときでした。
このままでは史上最高記録の50kgを超えると思い、2011年の4月頭からウォーキングを、半ばからランニングを始めました。
あっという間にスマートに変身できるわけではありませんが、走れば体重は確実に減ります。
この記事を書いている私は、47歳のときにダイエット目的で走り始め、3か月の練習のすえ、50kg近かった体重を42kgまで落として、2011年の初フルマラソンでサブ4を実現しました。
ランニングで効果的にダイエットするために
目標を決める
何か月後に何キロ減らしたいかを最初に明確にしましょう。
走り始めたときに出会った地元のジョギング教室<第6回湘南国際マラソン完走プロジェクト>は、「初マラソンは湘南で」という触れ込みで、参加者を募集していました。
わかりやすい目標設定に共感したことを覚えています。
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次の2通りの目標設定のうち、どちらのほうがよいでしょうか。
- 体重5キロやせるために、ジョギングをはじめるぞ!!
- 第6回湘南マラソンに出場してフルマラソンを完走し、体重5キロ減量するぞ!!
達成しやすいのは、2かと思います。
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1か月でマイナス1kgというのが、無理のない理想的なダイエットのようなので、私も半年後のレースまでに1か月で1〜2kg減らして、レース日にマイナス6kgの42kgにすることを目標にしました。
食事制限は必要ない
走って体重を減らすのは難しいと聞くこともありますが、ランニングを始めれば体重は自然に落ちていきます。
体内に貯蔵されている脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は約7200kcal ほど、1日に換算すると240kcalです。240kcal分のエネルギーというと、運動では「ウォーキング約50分」「ジョギング約27分」程度(約171cmの70kgの30-40代男性の場合)。それを毎日行えば、1か月で1kg減らすことができます。
ウォーキングより、軽いジョギングのほうが2倍の脂肪が燃焼され、さらに非常にゆっくりとしたスピードのランニングなら3倍の脂肪が燃焼されます。運動強度が上がれば脂肪の燃焼は大きくなります。
あたり前のことですが、体重が減るかどうかは、消費カロリーと摂取カロリーの差で決まります。
240kcalは、大きめのおにぎり1個、どら焼き1個、生ビール中ジョッキ1.2杯、発泡酒ロング缶(500ml)1つ程度です。
食事は「減らす」というよりも、「工夫する」という意識を持つことが大切です。
『マラソンは毎日走っても完走できない』小出義雄(角川SSC新書)
手はじめに、普段食べているもののカロリーがどれだけあるのかを知っておくといいでしょう。たとえば、卵がひとつ90キロカロリー、ご飯が茶碗1杯で160キロカロリー、ラーメンなら少なくとも450キロカロリーはある。(中略)
だいたい30〜50歳くらいまでの男性ランナーなら1日に必要なエネルギー量は2000〜2500キロカロリーくらい。身長、体重、それに練習量でも変わるので一概には言えませんが、目安としてこれくらい。
1日の中のどこかで「ラーメン食べても大丈夫かな」と計算して、ちょっとした節制のきっかけにするといいそうです。
以前は食品のカロリーを気にしたことがなかったのですが、走り始めてからは、おにぎりなどのカロリー表示をきちんと見るようになりました。
食習慣を見直す
食事の量を減らすのではなく、食事内容や食習慣を変えてみましょう。
私は走り出したときに貧血がひどかったので、玄米を中心に納豆、ひじき、あさりなどの鉄分の多い食品を好んで食べていました。貧血だったことで食習慣を見直すいいきっかけになったのです。
肉類をあまり食べず、魚や野菜、豆腐などの低カロリー食材が中心になると、食べる量を減らさなくても摂取カロリーが抑えられます。
また、飲んだ後の締めのラーメンはやめる、夜中に暴飲暴食をしない、眠る2時間前には食べないなど、当たり前のことに気をつけ、体によいものをバランスよく食べることを心がけましょう。
ランナーの適正体重を知る
標準(理想)体重の求め方には、
(身長[cm]-100)×0.9 (kg) (桂の方法)
身長[cm]-100 (kg) (ブローカ式)
など、いろいろありますが、BMIという国際的な指標が適正体重のひとつの目安になります。
BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
22×身長[m]×身長[m] (kg) (BMIによる方法)
BMIの計算式は世界共通で、日本肥満学会の判定基準では、22を適正体重(標準体重)とし、統計的に最も病気になりにくい体重としています。25以上は肥満、18.5未満は低体重と分類されています。
「ランナーの場合はBMIが20〜22程度の幅におさまるように調整するといいだろう」と金哲彦さんは著書でおっしゃっています。
身長165cmなら、20〜22は54.5〜59.9kg、身長155cmなら、48.1〜52.8 kgが理想的な体重ということになります。
もう少し減量しないと走りにくいなど、理想体重の感じ方は人によって変わると思います。
5〜8%というトップランナーの体脂肪率まではいかなくても、体脂肪率20%未満くらいは目指したいものです。
トレーニングで体質を変える
当時の手帳に下記の書き込みがあります。
- 血液循環をよくして貧血&腹痛予防
- 筋肉量を増やして基礎代謝UP
- 有酸素運動で脂肪を分解
- 柔軟性UPで体幹強化
- 玄米菜食で血液浄化 → 1日3食、普通に食べる
効率よく体脂肪を燃やすには、筋肉量を増やす必要があります。筋肉量が多くなれば基礎代謝が高くなります。
基礎代謝とは、呼吸をしたり心臓を動かしたり体温を保ったりと、人が生きていくために最低限必要なエネルギー、生きているだけで消費されるエネルギーで、1日に消費するエネルギーの約70%を占めています。
ウォーキングやジョギングなどのような長時間続けられる有酸素運動で体の血流と筋肉量を増やせば、基礎代謝量の増加が見込めます。
呼吸が苦しくなるスピードまで追い込まず、筋肉痛が起きるような激しい無酸素運ではなく、LSDのように長く走り続けると脂肪燃焼効果が高くなります。
効率的に体重を減らす大事なポイント
毎日体重を測って記録をつける
ランニングの記録とともに、体重も記録しましょう。
どういった練習メニューで、どのくらい体重が減ったか、参考になります。
私は毎日の食事や間食など、食べたたものの写真も撮りました。
私の経験では、走り始めた当初はおもしろいように体重が落ちます。ピークだった4月半ばの49.2kgから毎日1時間以上の運動をし始めてひと月で3.4kg、そこからさらにひと月で4.1kg、つまりふた月で7.5kgも減りました。
その後、少し戻しましたが、体重を記録し続けていると、急に増えても2日で戻せるなど、自分の体のリズムも掴めます。
しっかり食べていても、きちんと練習すれば体重は減っていきます。
結果、2か月で49.2kg→42.6kgになり、その後の4か月間もその体重をキープして、レースに臨みました。
夜ランではなく、朝ラン
朝ランをすると、「交感神経の活動レベルが高い状態が一日中続く」と岩本能史さんの著書にあります。
朝ランで交感神経のスイッチをオンにすると、あとはその後のシャワーや朝食の準備、さらには通勤や仕事などで適度にカラダを動かしているだけで、普段よりも多くの体脂肪が使われるのです。
『非常識マラソンメソッド』岩本能史(ソフトバンク新書)
走る直前に普通に食事をすると血糖値が上がります。脂肪が燃焼される前に、優先的にエネルギーとして使われ、脂肪燃焼が起きないため、ランニングは食前にしましょう。
朝食をとる前は血糖値が低いので、朝起きてからの適度なランニングは、体脂肪の燃焼に適している、というわけだ。
『3時間台で完走するマラソン』金哲彦(光文社新書)
水を飲んだだけではお腹が空いているな、というときは、オレンジジュースなどを飲んで走るといいそうです。
私の経験では、走った直後は食欲がありません。不思議だなと思っていたのですが、「運動後は食欲が抑えられ、運動をしなかった場合に比べ摂取カロリーが300kcal程度減る」ことが、英国のラフバラー大学の研究で明らかになっているそうです。
まとめ
ランニングは禁煙継続にも有効でした。
タバコを吸うと一酸化炭素が肺に入ってダメージを与えるだけではなく、ヘモグロビンの酸素運搬能力を低下させ、ランニング能力の低下につながります。せっかく走っているのに、逆行することをしては台無しなので、喫煙しようと思わなくなりました。
最初の頃は体重も落ちやすかったのですが、長年走っていると効率のよい体の仕組みができ上がってしまい、脂肪が燃焼しにくい体になるそうです。
体重を1kg減らせば3分速くなるといわれるので、レース前には体重を落としたいのですが、食欲に負けて減量できずにいます。