9年間の月間走行距離からフルマラソンのタイムを考察

2012年名古屋ウィメンズマラソン マラソン大会
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サブ4を目指すなら100~150km以上、サブ3.5なら150~250km、サブ3なら250〜300km以上など、目標タイムによって練習量の目安となる月間走行距離があり、重視しているランナーも多いようです。

市民ランナーのマラソンのタイムは、月間走行距離を増やすことでのびるのでしょうか。

大事なのは量より質・強度、どれだけ負荷をかけられるかです。

適正なトレーニング量には個人差があり、負荷が高すぎると故障につながります。

9年間の月間走行距離のマイ年表から、フルマラソン完走タイムとの関係を考察します。

この記事を書いている私は、フルマラソンデビュー後9年間、サブ4を継続しています。

次のレース予定のボストンマラソンでも、目指すはサブ4完走です。

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9年間の月間走行距離からフルマラソンのタイムを考察

2012年名古屋ウィメンズマラソン

走った距離は裏切らない?

「走った距離は裏切らない」

アテネオリンピック女子マラソン金メダリストの野口みずきさんの名言です。単に距離をこなせばいいということではなく、毎日の努力の積み重ねが大事だということです。

走った距離とは言ってますけど、努力は裏切らない。走った距離もそうですけど、毎日の積み重ねがすごくものを言う競技だと思うので。

「走った距離は裏切らない」野口みずきさんインタビュー 日本オリンピアンズ協会 

月にどのぐらいの距離を走ったのかを示す「月間走行距離」。
練習量を示す分かりやすい指標なので、ランナーのなかには「月間走行距離」神話が根強くあって、月末に帳尻を合わせようと無理をする方もいるようです。

サブ4を目指すなら100~150km以上、サブ3.5なら150~250km、サブ3なら250〜300km以上など、練習量の目安となる目標タイム別の月間走行距離を多くのランナーが重視しています。

私も最初はにこだわりを持っていました。ここまでやった、と思えることが、自信につながると思ったからです。

シドニーオリンピック女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんは「大阪国際女子マラソン」の前日に、2020年東京オリンピック女子マラソン日本代表の最後の1枠を争う選考会、『MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジ』のひとつである大会の見どころを語りました。

「(松田選手(ダイハツ)は)月間1300キロの走行距離を走っていて、非常に強い覚悟で臨んでいる。自分と似たところもすごく感じています。誰よりも一番腹筋を鍛えているし、誰よりも走っている。そういった“これは自分が一番だ”というものを持っている選手は土壇場に強いと思う。

「大阪国際女子マラソン」プレ解説 高橋尚子(2020年1月25日)

野口みずきさんは、このレース後に語っています。

やっぱり「走った距離は裏切らない」なんですよ。大阪国際女子マラソンで優勝した松田瑞生選手の走りは、しっかり走り込んだ自信に裏付けられていました。
月間走行距離は1300キロだったそうです。高橋尚子さんは1400キロ以上、私も1370キロを走りましたが、故障のリスクを考えて距離を踏まない今の選手の中では珍しい。筋トレで体幹のぶれない故障しにくいフォームを作ればいいんですが、「腹筋女王」と言われる松田選手ですから心配ありません。練習には質だけでなく量も必要だと思います。

「やっぱり先頭で気持ちよく走りたい」野口みずき 朝日新聞デジタルの記事(2020年2月17日)

ただ、これはオリンピック選考に出場する超エリートの話です。

では、市民ランナーのマラソンのタイムは、月間走行距離を増やすことでのびるのでしょうか。当然のことながら、キロ5分ペースで月間300kmを走ってもサブスリーを達成できるわけではなく、目標達成の基準にはなりません。

小出義雄監督の著書『マラソンは毎日走っても完走できない』(角川SSC新書)でも書かれているように、ただ毎日走っているだけではマラソンの練習にならないのです。大事なのは量より質・強度で、「どれだけ負荷をかけられるか」です。

9年間の月間走行距離一覧

2011年の距離は7月まではウォーキングとランの合計距離です。8月から、しっかり走り始めました。

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
  km 日数 km 日数 km 日数 km 日数 km 日数
1月     265 15 326 26 112 16 163 15
2月     370 22 318 24 169 16 160 18
3月 11 3 184 18 325 28 117 11 182 17
レース     3:38:25 3:43:12 3:52:55 3:56:24
4月 177 25 251 24 231 27 98 13 124 16
5月 388 31 275 24 308 26 182 21 49 7
6月 402 30 307 24 228 26 128 16 32 7
7月 225 31 215 16 197 30 139 15 14 3
8月 240 25 310 23 180 20 89 13 15 4
9月 251 23 271 24 24 4 244 23 64 11
10月 262 25 271 22 215 17 185 21 119 17
11月 152 16 240 20 189 11 99 10 79 9
レース S  3:51:27 3:29:11 4:00:21 3:51:40 4:05:37
        4:07:50        
12月 228 9 303 27 110 13 116 13 59 10
  2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
  km 日数 km 日数 km 日数 km 日数 km 日数
1月 106 18 67 13 64 12 104 16 131 20
2月 76 14 68 12 144 23 143 22 184 17
3月 155 15 178 20 111 16 156 26 192 20
レース 3:50:15                
4月 99 15 127 22 110 22 187 29 187 21
5月 39 6 113 22 147 24 218 30    
6月 28 5 95 16 95 16 121 20    
7月 76 15 36 4 124 21 161 30    
8月 54 12 79 11 176 23 209 29    
9月 118 20 93 9 206 23 181 23    
10月 233 25 191 14 238 23 247 19    
レース         TM  3:47:46        
11月 171 20 147 15 128 11 218 21    
レース     3:54:25 3:48:37        
12月 78 8 83 5 95 14 155 20    
レース 3:47:54 4:38:01     3:39:04    
  • S=湘南国際マラソン
  • N=名古屋ウィメンズマラソン
  • I=板橋Cityマラソン
  • T=つくばマラソン    
  • Y=横浜マラソン
  • F=福岡マラソン
  • H=ホノルルマラソン
  • TM=東北・みやぎ復興マラソン
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走行距離とタイムの解説

板橋Cityマラソン

250〜300kmくらいで、初フルサブ4からサブ3.5へ

初フルでサブ4を目指していた2011年11月のレース。その前3か月間の月間走行距離は250kmほど。サブ4を目指す平均100~150km以上よりもだいぶ多かったようです。

その後、サブ3.5を目標にしていた2012年はこれまでで月間走行距離が最も多く、3262km、月平均にすると272kmです。

後述しますが、2月と6月は300kmを超え、故障しました。

11月のレース3か月前は練習量を少し減らし、サブ3.5を達成しました。

300km以上、走り込み

その後、3時間15分切りを目指してLSDを取り入れ、4か月連続で300km以上走り込んで迎えたレースでは、結果が出ませんでした。海外旅行出発を3日後に控えて、壊れないように無意識のうちにセーブして走ってしまった気もします。

板橋Cityマラソンは病気だった父が母と一緒に応援に来てくれた最初で最後のレースだったので、もっと追い込めたのではないかと悔やみました。

レース2か月前に手術、月間24km!

アシックスのトレーニングメニューなどを試してみるものの、持病の貧血が悪化。2013年9月に9日間の入院、手術が決まりました。

11月にフルのレースをふたつも入れていたので、退院後にゆっくりウォーキングから始め、手術後2か月たらずで第8回湘南国際マラソンを走りました。結果は4時間を21秒切れずに悔しい思いをしました。

その3週間後のつくばマラソン。「湘南国際より記録が出やすいから走ったほうがいい」とアドバイスしてくださった方がいて、3時間15分切りを狙ってエントリーしていたレースです。

まったく足ができていない上に疲労も抜けていなくて、棄権も考えました。でも、前泊してレースに臨み、予想通り撃沈。4時間7分はこれまでのワースト記録です。

2013年つくばマラソン

モチベーションがなくなり、月間150kmほどに

つくばマラソンの1か月ほど後に父が他界し、モチベーションを失ってしまいました。

そもそも願かけのつもりでランニングを始めたので、走るのはやめようかなと思ったとき、「せっかく走りだしたのだから続けなさい」と母が背中を押してくれました。

前年に父と応援に来てくれた板橋Cityマラソンに応援に来てくれることになり、なんとかサブ4を維持。でも、その3か月後に母にがんが見つかり、ひと月で他界してしまいました。

月平均89kmしか走っていない2015年

月間走行距離が一番少ないのは2015年。年間1060km、月平均にすると89kmしか走っていません。

16年も一緒に暮らした愛猫のアッシュの具合がいよいよ悪くなり、できるだけ一緒にいる時間を長くしたかった時期です。ひどい風邪をひいていたこともあり、つくばマラソンを棄権しようかと思いましたが、夫と一緒にエントリーしていたので走りました。

つくばマラソンは私とは相性のよくないレースで、記録は4:05:37でした。

2016年からはサブ4継続が目標

少ないときは月間走行距離28km、日数4日ということもありますが、2017年12月のホノルルマラソン(ファンラン)以外はサブ4で走ることができています。

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走りすぎると故障する?

2013年つくばマラソン

一定の距離を走らなければトレーニング効果が期待できないのは確かです。問題はその一定距離に個人差があるということです。走り込みすぎると逆に故障などのリスクが高まることもあります。

初の35kmで走左脚股関節痛

2011年6月26日に大転倒し、しばらく走れない時期がありましたが、最初に本格的に故障したのは9月26日に35km走に初チャレンジした後です。ずっと左脚股関節が痛く、11月3日のレース当日は痛み止めを飲んで走りました。

レースの後、たくさん休んだのがよかったのか、11月20日ごろに完全に治りました。故障してから、長い2か月間でした。

300kmオーバーで腱鞘炎

40km走や峠走で走り込んだ2012年2月は22日出走で370km走り、故障しました。

6月末から左足の甲が痛くなり、腫れて熱を持ち、オーバーユースで腱鞘炎、甲に水がたまっていると診断。

「指を持ちあげて痛くなくなるまでランは禁止、水泳などをするように」と言われました。

6月の走行距離307km、出走日数24日。300kmを超えるとレッドゾーンだと自覚しました。

2週間で徐々にランを復活し、無理せずに少しずつ戻していきました。

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月間走行距離の活用法

湘南の海

マイ年表の作成

月間走行距離とレースの記録を一覧にしておくことをお勧めします。

適正な月間走行距離はランニングキャリアによって大きく変わります。また、同じ200kmでも何日間で走ったのか、練習内容によって負荷が異なります。

走り始めたときに比べ、いまは多少脚ができているので、月間走行距離をそれほど増やす必要がない気がします。

距離が少なくてもサブ4できたときもあるから大丈夫、と自分に暗示をかける材料にもなります。

直近の2019年12月のレースでは久しぶりにレース前3か月の平均距離が200kmほどで、サードベストが出せました。

加齢による筋力の衰えは必ずありますから、その分は距離で補うしかないのかもしれません。

走り過ぎのバロメーターに

月間走行距離は、目標にするのではなく、オーバーワークになっているかどうかの目安にできます。

私は通常、レース前3か月ほどはトレーニングメニューを決めてこなし、そうではないときは体調と気分次第で走ったり休んだりしています。月の途中に累積距離を気にすることはなく、月末に何キロ走ったかを計算し、月間走行距離を把握します。

まとめ

2020年はまだ途中ですが、この10年の走行距離を足して月平均をだしてみると148kmでした。

極端に少ない月や300kmを超えた月もありますが、偶然にもサブ4ランナーの数値と一致しています。

月間走行距離150km 程度、フルマラソン4時間以内をこれからもできるだけ維持していこうと思います。

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