山歩き、山登りは、マラソンに効果があるのかなと思ったことはありませんか。
マラソン大会がどんどん中止されて、次の目標を見つけられずにいるいまこそ、気持ちを切り替えて、新たなトレーニングを試してみるいい機会です。
暑い夏にいつも通りのトレーニングをしようにもすぐに疲弊し、人も多い上に熱中症も心配で、気持ちも盛り上がりません。
ぐんぐん気温が上がる街中から抜け出して、爽やかで涼しい風の通る夏山へ。
普段使わない筋肉を使って足腰を鍛えれば、マラソンに非常に効果があります。
マラソンのクロストレーニングとして、近くの山に出かけてみましょう!
この記事を書いている私は、フルマラソンデビュー後9年間、サブ4を継続しています。
フルを走る前から積極的にプチトレイルや山登りをしています。
コロナ禍の新たな登山ルールを守って夏山トレーニング
登山というと本格的なイメージで少し身構えてしまいますが、山歩きはウォーキングです。
マラソンの指導者の方々もその魅力について説いています。
山歩きはランナーにとっていいことばかり
高橋尚子さんを育てた小出義雄さんは、自宅周りのウォーキングに飽きてきたランニング初心者に、「山歩き」というウォーキングを勧めています。
小出さんご自身、マラソンの合宿中にロッキー山脈を続けて1時間歩くことを目標として歩き始め、3週間で5時間くらい平気で歩けるようになったそうです。食事も制限していたので体重が4キロも落ちたとか。走るための準備を整えるのに、「山歩き」は絶好のトレーニングです。
小さな山でいいんです。環境を変えるだけで、数時間も続けて歩けるもの。しかも、上り坂で負荷がかかるので、脚の筋力つくりにもなる。山歩きはランナーにとっていいことばかりです。
『マラソンは毎日走っても完走できない』小出義雄(角川SSC新書)
川内優輝さんを指導した津田誠一さんも、普段の練習以外に「山歩き」を勧めたそうです。
月1回程度は足腰を鍛えるために3〜4時間くらいの「山歩き」をするようにすすめました。(中略)
『常識破りの川内優輝マラソンメソッド』津田誠一(SB新書)
山歩きとマラソンは一見無関係のように思われるかもしれませんが、普段の練習で走ることのない登り下りで新鮮な刺激を入れながら、じっくりと足腰を鍛える効果はマラソンに非常に有効です。
私が真面目に登山をしようと思ったのは、たかぎなおこさんの「マラソン1年生」(メディアファクトリー)を読んだからです。
「ゆっくり長く歩く山登りはマラソンのトレーニングとしてもとっても効果的」だと聞いたたかぎさんは、もっと持久力をつけようと、まず高尾山(標高599m)へ。
山登り本を出版された鈴木ともこさんや仲間とともに塔ノ岳(標高1491m)にも登り、下山まで10時間かかったそうです。
山の三種の神器
鈴木ともこさんの「山登りはじめました」(メディアファクトリー)は、すごく参考になりました。
高尾山クラスのハイキングから、富士山まで、装備や服装、心構え、現地の楽しみ、大事なポイントなど、詳細に描かれています。
最初はリフトやロープウェイなどを使って高尾山や木曽駒へ。山小屋や温泉なども楽しそうです。夢みがちな鈴木さんと現実的なだんなさまの掛け合いも楽しく、役に立つ上におもしろくておすすめです。
たかぎなおこさんとの塔ノ岳登山やマラソン大会の様子も登場します。
スポークや歯みがきナップなど、掲載されている山アイテムは重宝しました。2009年初版本なのに、BUFF(バフ)も紹介されています。
山道具で絶対に欠かせないのは登山靴。安全で快適な歩行をサポートしてくれる登山靴は最重要装備です。
専門店で、ちゃんと山用の靴下を履いて試し履きをして、自分の足&用途に合ったものを選びましょう。ランニングシューズを選ぶのと一緒ですね。
次に大事なのがレインウエアです。
トレッキングシューズとレインウエアとザックは山の三種の神器と言われる重要アイテムです。
ストックとスポーツ用のタイツもお勧めです。疲労度がまるで違います。
ツアーや講習会を利用してみる
いきなり登山は不安、という方は、各旅行会社やアウトドアショップが行う初心者向けの登山ツアーや講習会に参加すると気楽に登山に触れられ、かつ、プロから指導を受けられます。
安全安心に山歩きを楽しむために、「モンベル」では初心者向けの山歩き講習会などを開催しています。
靴紐の結び方、パッキングの仕方、疲れにくい歩き方、水分補給など、山歩きをもっと楽にするコツを教えてもらえたり、地図の読み方や山歩きの基本技術、登山道具の選び方・使い方・メンテナンスなどを教えてくれたりします。トレッキングツアーももちろん充実。
全国の緊急事態宣言解除を受け、M.O.C.(モンベル・アウトドア・チャレンジ)では開催可能な日帰りイベントから、順次再開を予定しているそうです。
バスツアーイベントや地図読み講習会など、3密(密閉、密集、密接)を回避できないイベントなどは6月18日(木)まで中止、6月19日(金)以降は制限外です(各都道府県の要請状況により変更する場合あり)。
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、「THE NORTH FACE」は自社企画でのイベントを一定期間中止しています。
登山・クライミング・アウトドア用品の総合専門店「好日山荘」登山学校では、6月30日(火)までのすべての実技講座を休講、7月1日(水)以降は開催予定です(状況によっては休講や変更する場合あり)。
新型コロナウィルス感染対策の5つの登山ルール
5月25日に政府により緊急事態宣言が解除されたことを受け、入山自粛要請は入山注意要請に変わりつつあります。通常時のハイキングルールに加え、新たな登山ルールを守って感染症対策を行い、登山を楽しみましょう。
- 体調管理:体調に不安がある場合は、絶対に入山しないこと。
- 情報収集:山小屋・テント場の営業確認、事前予約を徹底すること。
- 山選び:十分に難易度を落とした山選びをすること。
- 行動計画:混雑を回避する登山計画により行動すること。
- 装備:感染予防グッズを携行し、ゴミは持ち帰ること。
失敗から学んでステップアップ
まずは近場の山をトレイルラン
私はもともと山に登るのは好きでしたし、トレッキングがマラソンに効果があるなら一石二鳥です。
幸い、自宅の近くに小さな山がいくつかありました。
1時間も歩けば山頂にたどり着く二子山(標高208m)は三浦半島では2番目の高さ。最初は走って登りきれず、ウォーキングで登り始め、慣れてきたら山頂まで走りました。
神奈川県の逗子市と葉山町の境にあり、引っ越す前は、週に1度は行っていました。暑いときの木陰、ひんやりとした空気は最高です!
ゆるやかな山路をゆけば、小高い山頂から横浜ランドマークタワーや房総半島まで見晴らせるすばらしい眺望が楽しめます。
鷹取山(139m)など、、登山というより、近くの山へのトレイルランニングがトレーニングとして習慣化しました。
三浦半島最高峰の大楠山(標高242m)にも走っていきました。25〜30km走です。
山頂から三浦半島、伊豆半島、富士山、箱根連山、大島、房総半島と360度の一大パノラマが見渡せます。
失敗したなあというケースもあります。
- 近いからと遅い時間に出発して、道がわからずに迷子に。
→低山でも日が暮れると危険なので引き返しました。携帯電話を持っていても、地図が表示されないこともあります。 - 短パン半袖で、虫や蚊に狙われ、ヘビにドッキリ。生い茂る草木で切り傷ができたこともあります。
→ヤブ系に行くとわかっているときは、できるだけ肌を露出させないように。 - 黒いキャップのせいか、ハチに刺されたことも!
→黒は狙われやすいので、明るい色を身につけましょう。周囲に気をつけて、刺激しないように注意。
本格的に登山開始!
2011年11月の初フルマラソンに向けてトレーニングを開始したのは8月。はっきりいって暑い。
そこから、ちゃんとザックを背負った登山も開始しました。
8月に三浦富士(標高183m)と金時山(標高1,212m)、宝永山(標高2,693m)、青梅の里山、9月には富士山(標高3,776m)に登りました。
9月後半からはラン中心のメニューに切り替えましたが、11月のレース後に、ハイキングや大山(標高1,252m)登山を、12月には奥多摩をトレッキングしました。
冬山は登れないので、しばらく登山はお休みし、3月のレースへ。
その後、6月の梅雨の時期から、塔ノ岳(標高1,491m)、鍋割山(標高1,273m)登山を楽しみ、赤岳(標高2,899m)〜横岳(標高2,830m)〜硫黄岳(標高2,760m)を縦走して山小屋泊登山も体験しました。
いまも登山を楽しんでいます。平成最後の年には、2度目の富士登山をしました。
昔に比べて、持久力がついたと感じています。
登山の魅力を満喫する
澄んだ高い空。
新鮮な空気。
森の匂い。
初めて見る可憐な植物。
鳥のさえずり。
心地よい汗。
非日常空間では気分が普段と変わります。
装備が重くても、トレーニングの一環だと思えばがんばれます。
バランス感覚も養われるし、標高が高いので涼しく、高地トレーニング気分になれます。いつもと違う筋肉と心肺機能を鍛えましょう!
なんといっても四季を彩る花々をはじめ、豊かな自然を満喫できますし、山頂にたどり着いた達成感とその景色は格別です。
まとめ
緊急事態宣言は解除されましたが、自治体によって入山への対応が異なります。
登山を検討される場合は、計画を立て、情報を事前に調べ、しっかり準備し、体調を管理し、天気を確認し、ステップを踏み、ルールを守って、楽しみましょう。
全般的な知識のほか、季節や山ごとに注意点があります。例えば、丹沢などは季節によってヤマビルがいます。丹沢エリアとひと口にいっても、東丹沢には多くいても西側は限られているなど、どこにでもいるわけではないので、ビジターセンターなどに状況を聞き、情報を仕入れておきましょう。
各自治体や交通機関、山小屋などから最新の一次情報を取得して、総合的に判断しなければなりません。
今年は残念ながら富士山には登れませんが、八ヶ岳などに登りたいなあと考えています。