水泳は上半身、下半身、体幹のすべてを同時に鍛えられる全身運動です。筋肉のポンプ機能が高まり、全身への酸素供給がスムーズになると、ランニング時に息があがりにくくなります。
着地衝撃による体への負担がないため、腰や膝、脚、足にダメージを与えず、心肺機能や持久力を向上させられます。
この記事を書いている私は、フルマラソンデビュー後9年間、サブ4を継続しています。
小学校時代はずっとスイミングスクールに通っていたので、泳ぐのは得意です。
水泳はランニングに効果的なクロストレーニング
「子どもの頃から水泳をやっていたから初フルでサブ4できたんですね」
2011年、小出道場の最終面接で面接官の方から言われました。
「小学校2年生からスイミングスクールに通い、大学時代はコーチのアルバイトをしていた」と履歴書に記入していたためです。そのときは、「いまは泳いでいないし、関係あるかな」と感じました。
でも、小学校時代にずっとスイミングスクールに通ったおかげで心肺機能が鍛えられ、大学時代からの長年の喫煙経験を打ち消してくれたのかもしれません。
クロストレーニングのメリット
クロストレーニング(cross training)とは、筋力・心肺機能あるいは持久力・瞬発力などの能力が片寄らないように、自転車、水泳、ウォーキング、ハイキング、登山、縄跳び、筋トレ、ヨガなど、専門の競技以外の多種目のスポーツを組み合わせて行うトレーニング方法をいいます。
技術の上達のために反復練習を毎日繰り返すと特定の筋肉や関節が疲弊し、ケガのリスクを増やしてしまいます。専門外のスポーツを週に1~2日行うと、疲れた筋肉の休息や修復に役立つだけでなく、身体の他の筋肉を鍛えてケガを予防し、故障のリスクを抑えます。筋力、体力、スピード、持久力など、全体的な身体能力やパフォーマンスを向上させられます。
自転車については、以前、ブログで取り上げたことがあります。
水泳の効果
数あるクロストレーニングのうち、水泳は上半身、下半身、体幹のすべてを同時に鍛えられる全身運動です。
心肺機能強化
水中運動である水泳では胸や腹部に水圧がかかることで呼吸筋が鍛えられ、心肺機能や持久力が向上します。
着地衝撃による体への負担がないため、腰や膝、脚、足にダメージを与えず、故障中でも心肺機能の強化や体力維持といったトレーニングができます。浮力により、リラックス効果も得られます。
筋力・持久力向上
全身の筋肉をくまなく鍛えられるので、筋肉量が増え、基礎代謝がアップします。筋肉のポンプ機能が高まることで血液循環能力が高まり、全身への酸素供給がスムーズになり、ランニング時に息があがりにくくなります。
疲れているときにあえて身体を動かすことで血行を促進し、疲労物質を素早く排出して疲労を回復させるアクティブレスト(積極的休養)にも水泳はぴったりです。
ゴルフやテニスなどと違って、左右対称の動きをするスポーツなので、筋力をバランスよくつけられます。インナーマッスル(体幹)も鍛えられます。
脂肪燃焼
水温は体温よりも低く、水の抵抗を受けるため、自然に負荷が高くなってカロリーを余計に消費できます。水泳の消費カロリーはウォーキングより多く、ジョギングやランニングと同程度です。
短距離を速く泳ぐと無酸素運動になりますが、長距離を長い時間かけてゆっくりと泳げば有酸素運動になり、脂肪燃焼に効果があります。
柔軟性アップ
クロールの大きな動作で肩周辺の血流をよくすれば、肩こりが解消できます。平泳ぎは肩甲骨の柔軟性アップに効果的です。
水泳には股関節や足首の可動域を高める効果もあります。柔軟性を高めればケガ防止に役立ちます。
実際に泳いでみたら
プールで泳ぐ
サブ3.5を目指してトレーニングしていた2012年7月、左足の甲が腫れて熱を持っているので病院へ行くと、「オーバーユースで腱鞘炎」と診断されました。「甲に水がたまっているので、足の指を持ちあげて痛くなくなるまでランは禁止、水泳などをするように」とアドバイスされ、久しぶりに水泳にチャレンジしました。
日頃使わない筋肉を使うし、ゆったりとしたマイペースで、スピードやフォームを気にせずに泳げるので気持ちいい。
水泳は一定の動作を繰り返すリズム運動なので、リラックス効果があります。
あまり長い時間泳いだり、速く泳いだりせず、30分ぐらいゆったりと泳ぐと疲労回復効果も望めます。
週に2回ほど、休憩を取らずに1時間ほど泳ぎました。
2週間ほどで腱鞘炎が治ってからは、またランだけの生活に戻ってしまいました。
屋内プールなら、夏の暑さや冬の寒さを気にせず、一年中快適に取り組めますし、週に1〜2回でも継続していればよかったなと思います。
海で泳ぐ
以前、故障してプールで泳いだときも海の近くに住んでいたのですが、「オーシャンスイム」という発想はありませんでした。
月に1回の海岸ビーチレースでよく会う女性ランナーに、逗子海岸で開催されたスイムレースで亡くなった方がいると聞き、「海は怖い」と感じました。
ロードのランなら、倒れていれば誰かが気づいてくれますが、海で溺れて沈んでしまうと、気づいてもらえないかもしれません。
鎌倉の材木座海岸にあるアウトドアスポーツ専門店のOSJ湘南クラブハウスではトレイルランやロードのスクールを開催しています。
このお店でOnのシューズを購入したことをきっかけに、オーシャンスイムについて話を聞いてみると、楽しそう。
「ゴーグルはお試しがあるし、キャップはスクール専用のものを使用、水着さえあれば大丈夫」とのことで、気軽に始められそうでした。
ウェットスーツのレンタルもあります。ウェットスーツで浮力を感じながらオーシャンスイムの楽しさを実感できるそうです。クラゲが気になる人にもおすすめだとか。
スクールに参加する前に、立てば足がつくほどの深さで、波打ち際と並行に泳いでみようかなと思いました。
まずは、今どきの水着をセールで購入。
私はゼビオで購入しましたが、アマゾンで売れ筋ランキングをチェックすると、価格に驚きます。サイズがわかっているなら、ネット購入がお得です。
実際に海で泳ぐと、プールとはまるで違うと感じます。
まず、当たり前のことですが波がある。コースレーンがないし、潮の流れがあるので方向を見失う。水温が思ったより低いし、視界が悪い。
海の特性を理解して潮の流れや波に逆らわずに泳ぎたいのですが、怖いという気持ちが先に立ってしまいます。
初回の1kmは50〜100m泳ぐたびに足をつく、という情けない状態でした。
波打ち際を行ったり来たり。
クロールは左右両方で息継ぎができた方がいい、ヘッドアップして方向を確かめる、バタ足のストロークはゆっくり(2ビート?)など、海ならではの習得技術もあるようです。
2回目のオーシャンスイムでは止まらずにゆったり泳ごうとリベンジを狙ったのですが、150mでクラゲに刺されて断念しました。
クラゲ対策でウェットスーツ!? と思っていましたが、水温が高くなってからはクラゲ対策が絶対に必要! と思い知りました。
8月末だったので、仕方ないかもしれませんが、クラゲに刺された痛さは衝撃でした。
耳がいちばん治りにくくて長引きましたが、1週間ほどでかさぶたになりました。
9月に海で泳ごうという方は、クラゲよけクリームなどを手に入れましょう。
来シーズンは開放的な気持ちでオーシャンスイムを楽しみたいです。
まとめ
泳ぐことに慣れると、走るよりもゆったりと体を動かせます。
近くに屋内プールがないのが残念ですが、6kmほど離れたところに温水プールがあるので、コロナの状況が落ちついたら行ってみようかと思います。
どうしても泳ぐのが苦手な人は、水中を歩く「水中ウォーキング」を試してみてはいかがでしょうか。
クロストレーニングでサイクリングやスイミング、というと、「トライアスロンにチャレンジするの?」と聞かれますが、いまのところ、そのつもりはまったくありません。
自転車で何度も転んだことがあるのでスピードを出せないし、足が立たない海で蹴られたりしたらパニックを起こしそう。それに、最後の最後に気力を振り絞って走るなんて、過酷すぎて想像できません。
だからこそ、挑戦する方がいるのだろうなと思います。
ランニングのクロストレーニングとして泳いでみて、トライアスロンに挑戦する気持ちになれたら、世界が広がりますね。