パスタ、お餅、鰻!? カーボローディングは予行演習が大事

鎌倉「つるや」の鰻 ランニング全般
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カーボローディング、実際に効果はあるのでしょうか。レースがないいまこそ、試してみるチャンスです。

カーボローディングってレース前の調整でしょ?  そう思っていませんか。確かにそれで間違っていませんが、20km走やハーフなどのハードなメニューの日をターゲットにして、カーボローディングを試してみましょう。

いろいろな方法があるので、どういったやり方やメニューが自分に適しているか、効果がどれくらいあるかを予行演習してみると、本番レースに活かせます。

この記事を書いている私は、フルマラソンデビュー後9年間、サブ4を継続しています。

レース前にはいつも、1週間の緩やかなカーボローディングをしています。

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カーボローディングを予行演習してみましょう

大好きなパスタ

カーボローディングとは、筋肉内にできるだけ多くのカーボ(糖質)を蓄積するコンディショニング法です。糖質は、ご飯、パン、麺類といった穀物を原料とする主食、ジャガイモやサツマイモといったイモ類、バナナやオレンジなどの果物に豊富です。

古典的なカーボローディングでは、糖質の摂取を控えてグリコーゲンを枯渇させた状態にしておいてから、タイミングよく適切な糖質を摂ってグリコーゲンの貯蔵量を増やします。

マラソン前日の「カーボローディングパーティ」で大量のパスタを食べるランナーの方もいるのではないでしょうか。

2週間前からカーボローディングする方法

たいていのマラソン関連本では、カーボローディングについて触れられています。

厳密なカーボローディングのやり方は1〜2週間かけて行うものから前日のみというものまで諸説あります。

レース前日までのカーボローディングは不要というマラソン指導者の方もいます。

食事に関しては、レース本番の2週間前から少しずつ糖質の摂取量を増やしていくといいでしょう。いわゆる「カーボローディング」というやつです。特になにをどれぐらい食べなさいとはいいません。少しずつ増やすというざっくりとしたイメージで十分です。
川内には、体重が1kgぐらい増えてもいいから、しっかりと食べておくようにいっていました。

常識破りの川内優輝マラソンメソッド』津田誠一(SB新書)

徐々に炭水化物中心の食事に変えていく方法で、時間をかけてエネルギーを蓄える考え方です。

1週間を前後半にわけてカーボローディングする方法

レース前の食事は、走るエネルギーとなる炭水化物を中心にとるのがいい。ごはん、パスタ、お餅などがオススメだ。
また、レースを走ると肝臓にも負担がかかる。直前はアルコールを控えめにしたい。(中略)
レース当日も、炭水化物中心がいいだろう。おにぎり2個、バナナ1本といった具合でいい。国内のレースであれば、おかずは控えめにして、ごはん中心の和定食などもいいだろう。

マラソン練習法がわかる本』金哲彦(じっぴコンパクト文庫)

金さんは現役時代のマラソンレースで、1週間前の月〜水まで炭水化物を制限し、次の3日間で炭水化物中心の食事にする方法を実践したそうです。トレーニングの「超回復」と同じで、一度枯渇させた炭水化物を、その反動で多く蓄えるという考え方です。

うまくいくときもいかないときもあったそうですが、カーボローディングを行わないときとの違いを実感されたと『3時間台で完走するマラソン』(光文社新書)」に書かれています。

1週間を前後半にわけたやり方が合わず、試行錯誤されたのが鈴木莉紗さんです。

最初に行ったのは、レース1週間前の前半をカーボ(炭水化物)抜きで過ごし、その後大量に摂取するというもの。カーボ抜きの期間中は胃が痛み、情緒不安定で集中力もなくなり、仕事が手につかない状態になってしまいました。糖分が枯渇しているため、脳への栄養が不足してしまうのです。
現在はもっとマイルドなカーボローディングを行っています。気をつけたいのは食べすぎ。炭水化物を多く摂取する日はタンパク質などを控えめにして、総摂取カロリーをコントロールするようにしてください。

1日10分も走れなかった私がフルマラソンで3時間を切るためにしたこと』鈴木莉紗(カンゼン)

マイルドなカーボローディングとは、レース1週間前の月〜水は炭水化物を少なめ、夕飯はタンパク質、野菜類中心。木金の朝昼はご飯1膳、夜から2膳。前日は繊維質の高いものや生野菜を避け、炭水化物を多めにとるそうです。

レース当日の朝食メニューはお餅5個。海苔はつけず、砂糖じょうゆで食べ、ご飯1膳を追加することもあり、おかず類はいっさい食べないそうです。

3日前からカーボローディングする方法

糖質を減らさず、3日前から徐々に糖質を増やす方法もあります。

古典的なカーボローディングでは、3〜5日間ほどかけて主食やイモ類の摂取を制限して糖質を減らします。この間も糖質を必要とする強度の高いトレーニングを続けていると、筋肉内のグリコーゲンが枯渇します。その結果、グリコーゲンを合成する酵素の活性が高まります。
こうしてグリコーゲンを合成しやすい環境を整えてから、3〜5日ほど糖質の多い食事をすると、カーボローディングを行う前よりも、筋肉のグリコーゲン蓄積量が増やせるという仕組みです。(中略)
古典的な手法がすたれた理由は2つあります。
糖質の摂取を減らすとトレーニングの強度はどうしても下がりますし、頑張って負荷を上げようとすると疲労が溜まります。これが理由の1つ。
もう1つの理由は、ある程度の強度のトレーニングをしていれば、事前に糖質の摂取を減らさなくても、本番の3日ほど前から糖質の摂取を増やすだけで、グリコーゲンの貯蔵量が増えるとわかったからです。(中略)
レース当日の朝食でも、ご飯やお餅やバナナといった糖質を多めに摂取しましょう。

毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる!』吉岡利貢(ソフトバンク新書)

カーボローディングのプロセスを軽視してレース前に糖質摂取を増やす手間を省いたことで、2回に1回は失敗レースになるなど成績が安定しなかった吉岡さんは、専門家の分析で糖質の摂取量が不足していると判明して、カーボローディングをしっかりやるようにしたら失敗レースが減ったそうです。

前日からカーボローディングする方法

小出義雄さんは、レース前日には炭水化物を、と書かれています。また、レースの当日も普段通りの和食を勧めています。

(レース当日に)欠かせないのは、エネルギー源となる炭水化物。普段の朝食にご飯やお味噌汁、納豆など一般的な和食を食べている人ならば、それでもまったく問題ありません。
逆に避けた方がいいのが肉料理です。芋類など、食物繊維が多く含まれている食事も控えた方がいい。僕が選手によく言っているのは、「朝は冷たい牛乳を飲むな」ということ。走っている最中にお腹を壊してしまったら、自分のペースで走ることもできなくなってしまいます。
Qちゃんはレースの当日、いつもご飯と一緒にお餅を食べていました。足りないなと感じたら、カステラも食べていた。(中略)
前日の夕食である程度しっかり炭水化物を食べておくのも手です。

マラソンは毎日走っても完走できない』小出義雄(角川SSC新書)

レース当日にカーボローディングする方法

前日までのカーボローディングは不要と言い切るのは岩本能史さんです。

カーボローディングは糖質を控える期間や増やすタイミングの設定が難しく、素人がつけ焼き刃で行っても成功するとはかぎりません。
最後の1週間は普段以上にバランスのよい食事を心がけて、疲労回復をアシストするビタミンやミネラルなどが欠乏しないようにすることが先決。糖質に関しては2〜3日前から主食の摂取を意識的に少し増やせば十分です。ぼく自身もカーボローディングは行っていません。
レース前日は胃腸に負担がかかる脂っこい食事を避け、アルコールも禁止です。

非常識マラソンメソッド』岩本能史(ソフトバンク新書)

岩本さんは、レース当日の糖質補給の方が何倍も重要だといいます。朝食に避けたいのはパン。パンを食べすぎるとお腹でガスが発生することがあるそうです。

朝食後に切り餅7個を段階的に食べるように勧めていらっしゃるのは有名です。

非常識マラソンマネジメント』(ソフトバンク新書)では、ウォーターローディングの仕方なども詳細に解説されています。

どの方法、期間でも、2〜3日前からは糖質を意識して摂取しますが、一番大事なポイントは、総摂取カロリーを増やさないことです。

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自分なりのカーボローディング法

鎌倉「つるや」の鰻

フルマラソンはこれまで17回走りましたが、初めてのフルのときから、1週間のカーボローディングをしています。

走るためのエネルギー源となるグリコーゲンを体内に蓄えるために、最初の3日間は炭水化物を減らし、後半からレース当日までをパスタやうどんなどの麺類や、ごはん、パン、お餅などを多く摂るスタンダードな方法です。

初カーボローディングで大失敗

最初のときは、炭水化物=ご飯やパン、パスタやうどんと思い込んでいたため、炭水化物を減らしているつもりの3日間で、炭水化物だらけの柿やヨーグルト、サツマイモを大量に食べていました。

チャーハン、ラーメンなど、炭水化物を増やすメニューはすぐに思いつきます。減らすには、豆腐や焼き鳥、鍋など、居酒屋メニューを想像してみてください。

肉や魚、野菜など、おかず中心の食事にして、ご飯やうどんなどの主食を控えます。野菜のなかにはジャガイモやカボチャのように炭水化物たっぷりのものもあるので気をつけましょう。

食べ過ぎに注意!

最初のフルマラソンのときは、レース前で練習量が減っているのに食欲旺盛のままで食べ過ぎ、2日で2kgも体重が増えてしまいました。

納豆や野菜中心だったところに、週後半になってラーメン&チャーハンの夕食をがっつり食べ、気分が悪くなって戻したこともあります。

体が重くなると走りにくいので、体重をきちんとコントロールしなければなりません。

レース前日の勝負メシは鰻

レース前日から、生もの、消化の悪いもの、極端に辛いもの、食べ慣れないものなどを控えます。

私の勝負飯は鰻! 最初のフルマラソン前日から、鰻を食べるのがジンクスのようになっています。

脂っこいという人もいますが、鰻を食べたからサブ4できた! という成功体験が刷り込まれていて、国内レースのときは可能な限り鰻を予約します。

ホノルルマラソンのときは鰻を食べられませんでしたが、楽しく完走できました。

ビールを飲みたくなりますが、アルコールは我慢します。

アルコールには利尿作用、脱水作用があり、翌日のレースに確実に悪影響が出るそうです。せっかくがんばってトレーニングしてきたのですから、肝臓に負荷をかけ、心拍数をあげて自らを苦しくするのはもったいないですよね。

カフェインも、レース後まで我慢します。

これが食べたい! というものを食べて、レースがうまくいくと、次からまた同じ料理を食べたくなるかもしれません。

アルコールを控えるのはフルマラソン前日で、ハーフまでのレースのときには夕食の際にビールを飲むこともあります。

レース当日は基本はお餅

レース当日はお餅を食べます。

最初のころは朝食後にお餅をプラスしていましたが、いまは最初からお餅を食べることも多いです。後はバナナを食べたり、スタート30分くらい前にエネルギーゼリーをとります。

遠征しているときお餅は食べず、宿泊先が早朝に朝食を出してくれるときは炭水化物を多めに食べ、朝食時間が合わないときはコンビニのおにぎりを買い、エネルギーゼリーを用意します。

まとめ

「レース前の食事」といっても、いまはあまり堅苦しく考えず、レース1週間前の前半は主食を控えめ、後半は思う存分主食、という緩やかなカーボローディングをしています。

炭水化物をまるで摂取しないと、仕上げのトレーニングのときに力が湧きません。

食べたものは手帳にメモして、写真も撮っています。

これまで走った体験をもとに、こんな感じがいいかなというスタイルに落ち着きました。

本番レースでなければ気楽に失敗できるので、「やっぱりパスタが効く」「中華が最強」「1週間は長いな」など、ゲーム感覚でいろいろなパターンを試してみてはいかがでしょうか。

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